自分と多様性への理解 × 文化と暮らしのつながり


華を活けて、茶を点てて、書を記し、どういう価値があるの?


私自身が長年いけばなに触れ、同時に「会社員」という働き方をする中で感じていた違和感があります。
現代の資本主義の中では、ビジネスと文化は対極にあるのではないか…
文化と日々の暮らしに繋がりが感じられず、現代のライフスタイルと距離があるのではないか。
何が良くて、何が尊ばれて、何が価値を持って現代に続いてきたのか、
その魅力が受け入れ難いものになっているのではないかという違和感です。

 

特に芸道は、歴史上、貴族武士商人を中心とした高尚文化として発展してきた背景から、
お金と時間に余裕のある一定の限定された層で育まれてきました。
現在でも周囲でやっているのは、主婦やOLの女性的なイメージだったり、
高価な道具や、「型」や「流派」を追求していく長期的な悟りの世界のイメージがあるかもしれません。

 

しかしながら、現代社会を支えるのは多くの働きマンであり、今後の日本の未来を担うのもまさにその働きマンなのです。
かつての時代を築き上げてきた貴族が、武士が、商人が、なぜ茶を点て、華を活けたのか。
文化と政治、経済、戦は常に隣にあり、共に時代を築き上げてきた要素なのです。

 

日本経済の先行きに不穏を感じ、今後更にグローバルに拡大する現在、まさに「日本人である」という特性を活かし、

世界で活躍する人材が求められます。
そこでは、グローバルスタンダードの標準化された文化ではなく、日本独自の、誇るべきオリジナリティこそが、
異国文化の人には興味関心の対象となるのではないかと思います。

 

同時に、異なることへの理解、様々な「違い」を認めること、
そして、自分らしい個性を解放する人が、これからの社会で活躍すると信じています。

 

日本の歴史の中で、人々の日常の中で醸成されてきた伝統的な文化であるいけばな。
いけばなをとおして、自己と社会が繋がり、文化と暮らしが繋がり、より彩り豊かに輝く人が増える社会を目指します。

 

 

華彩 hana-dori

井口 双恵